建設業許可を取得したい方で、特定建設業許可を取得したい方は必見!!
この記事では特定建設業許可を取得する要件について具体的に解説しています。
実は、特定建設業許可は一般建設業許可よりも取得に必要な要件が厳しくなっています。
この記事を読めば、特定建設業許可の要件についてわかります。
記事を読んでわかるポイント
- 特定建設業許可が必要な場合
- 特定建設業許可を取得する為の要件
特定建設業許可とは?
特定建設業許可とは、発注者から直接請負った1件の工事について、工事代金が税込4,000万円(建築一式工事は税込6,000万円)以上の工事を下請契約する場合に必要になる許可になります。
つまり、発注者から直接請負ったものでない限り、下請契約する金額が税込4,000万円(建築一式工事は税込6,000万円)以上であっても、特定建設業許可を受ける必要はありません。
上記のように発注者から直接請負った元請業者が1次下請業者に下請契約して、その金額が、税込4,000万円以上(建築一式工事は税込6,000万円以上)であれば、必要になりますが、1次下請業者以下の業者が、いくらで下請契約しても不要となります。
また、発注者から直接請負った元請業者であっても、下請契約せずに、自社で工事を施工してしまえば特定建設業許可は不要になりますので、元請業者だからといっても、必ず必要となるとは限りません。
特定建設業許可の取得要件6つ
特定建設業許可を取得するには6つの要件が必要になります。この要件は一般建設業許可と同じ部分もありますが、一部は一般建設業許可と比べてハードルが高くなる要件があります。
一般建設業許可の取得要件に関して知りたい方はこちら
特定建設業許可の要件は以下になります。
特定建設業許可取得要件6つ
①経営業務管理責任者
②専任技術者
③財産的基礎要件
④社会保険
⑤欠格要件
⑥誠実性
黒字(①・④・⑤・⑥)に関しては、一般建設業許可と同じ要件になりますが、赤字(②・③)に関しては、一般建設業許可よりもハードルが高い要件となります。
①経営業務管理責任者
経営業務管理責任者になる為には、以下のいずれかに該当する必要があります。
経営業務管理責任者の要件
①建設業に関し、経営業務管理責任者として5年以上の経験
②建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位として5年以上の経験
③建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位として補佐した6年以上の経験
上記の①~③いずれかに当てはまれば、経営業務管理責任者の要件はクリア出来ます。
ただ、この要件は、大半が①のケースで要件を満たすことが多いです。
経営業務管理責任者とは、簡単に言うと建設会社での経営経験になります。
建設会社での経営経験は法人、個人事業主により以下になります。
事業形態 | 建設会社での経営経験 |
法人 | 代表取締役・取締役・役員 ※監査役を除く |
個人事業主 | 事業主・支配人 ※支配人は登記が必要 |
上記の経験が、5年以上あれば経営業務管理責任者の要件はクリア出来ます。
つまり、法人であれば代表取締役の経験が5年以上あればクリアという事になります。
経営業務管理責任者についてより詳しく知りたい方はこちら
②専任技術者
特定建設業許可での専任技術者要件は、一般建設業許可に比べてハードルが上がります。
特定建設業許可の専任技術者要件は以下のいずれかになります。
特定建設業許可の専任技術者要件
①国家資格
②一般建設業許可の専任技術者要件+指導監督的実務経験
上記の①か②どちらかを満たせばクリア出来ます。
①国家資格
特定建設業許可の専任技術者となり得る国家資格は、一般建設業許可よりもハードルが高く、種類も少ないです。一般建設業許可の専任技術者となり得る国家資格は2級の資格があれば、要件を満たすことが可能でしたが、特定建設業許可の専任技術者になり得る国家資格は1級の資格が求められます。
②一般建設業許可の専任技術者要件+指導監督的実務経験
この要件は一般建設業許可の専任技術者要件に加えて、指導監督的な実務経験が2年以上必要になります。指導監督的な実務経験とは、元請として4,500万円以上の工事において、工事現場監督者のような立場で工事を総合的に指導監督した経験が必要になります。
※指定7業種については指導監督的実務経験では専任技術者になることはできません。
指定7業種→土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業
特定建設業許可の専任技術者についてより詳しく知りたい方はこちら
③財産的基礎要件
特定建設業許可の財産的基礎要件は一般建設業許可よりもかなり厳しい要件になります。
特定建設業許可の財産的基礎要件は以下の全てを満たす必要があります。
特定建設業許可の財産的基礎要件
①資本金が2,000万円以上
②自己資本が4,000万円以上
③流動比率が75%以上
④欠損額が資本金の20%以下
上記の①~④全てを満たすことが出来れば、特定建設業許可の財産的基礎要件はクリア出来ます。
特定建設業許可の財産的基礎要件についてより詳しく知りたい方はこちら
④社会保険
この要件は令和2年10月1日の許可申請受付分(新規・業種追加・更新等)より、申請される事業所で、適切な社会保険の加入が許可要件となりました。
社会保険は以下になります。
社会保険
①健康保険・厚生年金保険
②雇用保険
①健康保険・厚生年金保険
健康保険・厚生年金保険に加入が必要になるのは、法人、個人事業主により以下になります。
事業形態 | 加入義務がある事業者 |
法人 | すべて |
個人事業主 ※本人は加入できない | 家族従業員を除く従業員を5人以上使用している場合 |
②雇用保険
雇用保険に加入が必要になるのは、下記にあてはまる労働者を1人でも雇っている場合に、法人、個人事業主に関わらず、加入義務が発生します。
以下の労働者を雇っている場合
①31日以上継続して雇用される見込みであること
②週の労働時間が20時間以上であること
社会保険についてより詳しく知りたい方はこちら
⑤欠格要件
欠格要件は会社の役員等が以下のいずれかに1つでも該当する場合は許可を受けることが出来ません。
欠格要件
1、書類に関する欠格要件
許可申請書又はその添付書類について、重要な事項に虚偽の記載又は重要な事項の記載が欠けている
2,人に関する欠格要件
①成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
②不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反した事等により
その許可を取り消されて5年を経過しない者
③許可の取消処分を免れるために廃業届を行い、その届出の日から5年を経過しない者
④許可の取消処分を免れるための廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分にかかる通知
があった日以前60日以内に、③の廃業の届出をした法人の役員等若しくは令3条使用人、又は届出
をした個人の令3条使用人で、当該届出の日から5年を経過しない者
⑤営業の停止、禁止を命ぜられ、その停止、禁止の期間が経過しない者
⑥営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
⑦禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった
日から5年を経過しない者
⑧建設業法、又は一定の法律に違反したことで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はそ
の刑の執行を受ける事がなくなった日から5年を経過しない者
⑨暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑩申請者が未成年者で、その法定代理人又は法人でその役員等、又は令3条使用人又は個人事業でそ
の支配人又は令3条使用人が①~⑨に該当する場合
⑪暴力団員等にその事業活動を支配されている者
欠格要件に該当してはいけない人物は法人、個人事業主により以下になります。
事業形態 | 欠格要件に該当してはけない人物 |
法人 | 会社、執行社員、取締役等 |
個人事業主 | 事業主、支配人、営業所の代表者 |
欠格要件についてより詳しく知りたい方はこちら
⑥誠実性
誠実性とは「請負契約に関し、不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかなものでないこと」といった要件が求められます。
不正又は不誠実な行為とは以下になります。
不正な行為
詐欺、脅迫、横領等の法律に違反する行為を行って契約を締結した場合
不誠実な行為
工事内容、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為
誠実性の要件が求められるのは法人、個人事業主により以下になります。
事業形態 | 誠実性が求めらる人物 |
法人 | 会社、執行社員、取締役等 |
個人事業主 | 事業主、支配人、営業所の代表者 |
誠実性についてより詳しく知りたい方はこちら
特定建設業許可の取得に必要な6つの要件まとめ
今回は特定建設業許可を取得する際に必要な要件について解説してきました。
特定建設業許可の要件は一般建設業許可に比べて「専任技術者」と「財産的基礎要件」の部分でかなりハードルが上がります。
ただ、特定建設業許可を取得すれば、発注者から直接請負った大規模な工事を下請契約することが出来るので、事業拡大にも繋がります。
要件のハードルは高いですが、事業拡大を目指されている方は是非一度取得を検討されてはいかがでしょうか。