建設業許可を取得したい方で特定建設業許可の財産的基礎要件について知りたい方は必見!!
この記事では特定建設業許可の財産的基礎要件について具体的に解説しています。
実は特定建設業許可の財産的基礎要件を満たすには4つの要件を満たす必要があります。
この記事を読めば特定建設業許可の財産的基礎要件についてわかります。
本記事を読んでわかるポイント
- 特定建設業許可の財産的基礎要件4つ
- 各要件の計算方法と確認方法
特定建設業許可の財産的基礎要件
特定建設業許可の財産的基礎要件は、一般建設業許可の財産的基礎要件に比べて要件がかなり厳しくなります。理由としては、特定建設業許可を取得した業者、いわゆる特定建設業者は取り扱う工事代金が大きくなるので、それを施工できるだけの財産的資力が求められるからです。
特定建設業許可の財産的基礎要件は以下の4つになります。
特定建設業許可の財産的基礎要件
①欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
②流動比率が75%以上あること
③資本金が2000万円以上あること
④純資産合計額が4000万円以上あること
上記の要件を満たしているかどうかの判断は、既存の企業に関しては、直前の決算の財務諸表により、新規設立の企業に関しては創業時における財務諸表で判断を行います。
では、それぞれ見ていきましょう。
①欠損額が資本金の20%をこえていないこと
「欠損の額」とは、簡単に説明すると財務諸表の一部(勘定科目)にマイナスが出ているか否かを確認します。
プラスであれば問題はありませんが、もし、マイナスであればその額が資本金の20%を超えているかどうかを確認する必要があります。マイナスの額が資本金の20%を超えていた場合は、要件を満たすことが出来ません。
では、その財務諸表の一部(勘定科目)とは?法人と個人事業主で分かれます。
事業形態 | 財務諸表の一部(勘定科目) |
法人 | 繰越利益剰余金 |
個人事業主 | 事業主損失 |
法人であれば「繰越利益剰余金」、個人事業主であれば「事業主損失」の部分がマイナス計上されていれば、そのマイナスの額が資本金の20%を超えているか否かを確認します。
確認方法は以下の計算式に当てはめて計算を行います。
では、実際に事例を使ってご説明したいと思います。
〈事例〉法人の場合
①資本金 20,000千円
②繰越利益剰余金 △21,000千円
③資本準備金 1,000千円
④利益準備金 5,000千円
⑤任意積立金 10,000千円
上記の事例を計算式に当てはめると以下になります。
当てはめた結果、欠損の額が25%なので、この事例の場合だと要件を満たすことはできません。
このように、特定建設業許可の取得を検討されている方は、直前の決算の財務諸表を確認し、法人であれば「繰越利益剰余金」、個人事業主であれば「事業主損失」の部分がマイナス計上であれば、先程ご説明した計算式に当てはめて、資本金の20%を超えるか否かの確認をしてください。
②流動比率が75%以上あること
流動比率とは、貸借対照表の流動資産と流動負債から計算します。
まず、財務諸表の流動資産の合計と流動負債の合計を確認します。
流動資産 1年以内に現金化できるような資産 現金・預金、受取手形、売掛金等の合計金額
流動負債 1年以内に支払期限が到来する負債 工事未払金や短期借入金等の合計金額
それぞれ合計金額が分かれば、以下の計算式にあてはめて計算を行います。
流動比率計算式
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
上記の貸借対照表を計算式に当てはめると以下になります
83%=75000÷90000×100
流動比率が75%以上なので、要件はクリア出来ます。
このように計算式にあてはめて75%以上であれば、要件はクリア出来ます。
流動比率とは、会社の短期的な経営の安全性を確認しています。この比率が低いほど、短期的に不安定な経営であると判断されます。
流動比率は200%以上が理想と言われています。特定建設業許可を取得する、しないに関わらず、自社の経営状況を把握するためにも、一度、確認される事をおすすめ致します。
③資本金が2000万円以上あること
資本金とは、株式会社、特例有限会社、合資・合名・合同会社、個人事業主により以下になります。
事業形態 | 資本金とは |
株式会社 | 払込資本金 |
特定有限会社 | 資本の総額 |
合資・合名・合同会社 | 出資金額 |
個人事業主 | 期首資本金 |
この資本金の額が2000万円以上であれば、要件はクリアすることが出来ます。
財務諸表の貸借対照表の純資産の部を確認してください。
純資産の部を確認すると、資本金の科目があるので、そこの部分が2000万円以上であればクリアです。
上記の貸借対照表は2000万円以上ある為、要件はクリア出来ることになります。
④純資産合計額が4000万円以上あること
この要件は、純資産合計額が4000万円以上あれば、要件をクリアすることが出来ます。
純資産合計は自己資本とも言われたりもします。
資本金の確認と同様に、財務諸表の貸借対照表の純資産の部を確認してください。
資本金を含めた、純資産の部の合計金額が4000万円以上であれば要件がクリアすることが出来ます。
上記の貸借対照表は純資産合計額が4000万円以上なので要件がクリアすることが出来ます。
財産的基礎要件は更新時にも必要
財産的基礎要件は、新規で申請する場合だけでなく、更新の際も、決算変更届で確認が行われます。
もし、その決算変更届で要件を満たすことが出来ない場合は、特定建設業許可から一般建設業許可への許可変えをすることも検討しておく必要があります。
もし、財産的要件を満たしていない場合でも、増資を行うことで、要件をクリアできるケースもありますので、早い段階から更新手続きをされることをおすすめ致します。
決算変更届についてより詳しく知りたい方はこちら
特定建設業許可の財産的基礎要件まとめ
今回は特定建設業許可の財産的基礎要件について解説してきました。
特定建設業許可の財産的基礎要件は4つありました。
①欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
②流動比率が75%以上あること
③資本金が2000万円以上あること
④純資産合計額が4000万円以上あること
上記の4つ要件を全て満たす必要があります。
この要件は新規に申請する時だけではなく、更新の際もこの要件を満たす必要があるので、注意が必要です。
特定建設業許可取得をお考えの方は、一度、自社が財産的要件を満たしているかの確認をしてみてください。
もし、確認の仕方がわからない等ありましたら、弊所でも一緒に確認させて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。
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