建設業許可要件【社会保険加入は必須?】義務事業者を徹底解説!!

建設業許可取得をお考えの方で、社会保険の加入について知りたい方は必見!!
この記事では「社会保険の加入について」を具体的に解説しています。
実は建設業法は2020年10月に改正され、許可を取得する際、社会保険の加入が必要になりました。
この記事を読めば、社会保険の加入に関する事がわかります!!

本記事を読んでわかるポイント


  • 社会保険加入が要件になった背景
  • 社会保険の対象
  • 社会保険加入の確認資料
  • 社会保険に変更があった場合は?

社会保険の加入義務について

建設業許可を取得する際、6つの要件をクリアする必要がありますが、今回はそのうちの1つ
「適切な社会保険の加入」について解説していきたいと思います。

建設業許可取得に必要な6つの要件
①経営業務管理責任者
②専任技術者 
③財産的要件
④誠実性であること
⑤欠格要件に該当しない事
⑥適切な社会保険の加入

この要件は2020年(令和2年)10月に建設業法の改正があり、追加された要件になります。
社会保険加入義務がある事業者は今後、加入していなければ、
建設業許可申請(新規・業種追加・更新等)が受理されなくなります。
もし、社会保険へ未加入の場合は、加入手続きを済ませてから、申請する必要があります。

なぜ社会保険の加入が要件となったのか?
いくつか要因はありますが、代表的なのは
①工事受注の不平等
②若手の人材不足 などが挙げられます。

①工事受注の不平等
建設業界は競合が多く、工事を受注するのに価格競争が激化しています。
社会保険料負担を減らし、少しでも安く工事を受注しようとする業者がいる為に
工事受注の不平等が生じていること。

②若手の人材不足
建設業界は高齢化が進んでおり、若手の技能者不足や後継者が不足している状況です。
社会保険が整備されていないと労働条件の悪さから若手が建設業界に参入してこない状態が
生じていること。

上記のような要因を無くすために、社会保険の加入義務が要件になったという事です。

加入義務のある社会保険とは?

加入義務のある社会保険
①健康保険
②厚生年金保険
③雇用保険
 

上記3つが加入義務がある社会保険となります。
では、それぞれ見ていきましょう!!

①健康保険

サラリーマンなど、民間企業に勤めている人とその家族が加入する医療制度ですね。
健康保険は被保険者と事業主が保険料を負担しあって運用されています。

加入義務がある事業者
・法人(1人社長を含む)
・個人事業主(家族従業員を除く従業員が5人以上を使用している場合)
※個人事業主本人は加入できない

例 
  法人の場合は社長のみの会社で、従業員を1人も雇っていなくても加入は必須
  

  個人事業主の場合は一人親方の個人事業主で従業員が5人以上なら加入は必須

加入義務がある事業者は下記のいずれかに加入が必要になります
・協会けんぽ
・組合健保

加入しなくても許可がとれるケース
・従業員が1~4人の個人事業主(この場合事業主と従業員は国民健康保険に加入)
・建設国保等加入により、年金事務所から適用除外承認を受けた場合

②厚生年金保険

適用事業所で働く70歳未満の会社員や公務員が加入する公的年金制度です。
日本国民全員が加入義務である国民年金に上乗せされているのが厚生年金です。
会社と従業員が保険料を折半して毎月会社が支払っています。

加入義務がある事業者
・法人(1人社長を含む)
・個人事業主(家族従業員を除く従業員を5人以上使用している場合)
※個人事業主本人は加入できない

加入義務の適用除外
・従業員が1~4人の個人事業主(この場合、事業主と従業員は国民年金保険に加入)

③雇用保険

労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに
再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度です。
雇用保険料は事業主と労働者が負担します。

加入義務がある事業者

1人でも下記の①②にあてはまる労働者を雇っている場合は法人・個人事業に関係なく加入義務が発生します。
①31日以上継続して雇用される見込みであること。
②週の労働時間が20時間以上であること

社会保険加入義務事業者の分類

事業所区分 常用労働者 健康保険
厚生年金保険
雇用保険   適用除外となる保険
法人 1人~  
役員のみ等 雇用保険
個人事業主 5人~  
1人~4人 健康保険
厚生年金保険
1人親方等 雇用保険
健康保険
厚生年金保険

※健康保険被保険者は75歳未満
※厚生年金保険被保険者は70歳未満

社会保険加入義務事業者の確認資料

社会保険加入義務がある事業者は、建設業許可申請(新規・業種追加・更新等)を行う際に、
加入している証明として確認資料の提出が求められます。
確認資料は下記になります。

健康保険、厚生年金保険 雇用保険

確認書類 例

①保険料納入告知額・領収済額通知書
②健康保険・厚生年金保険被保険者 
標準報酬決定通知書 等

※いずれも直近の書類(写し)
※事業所整理番号がわかるもの

 

確認書類 例

①労働保険概算・確定保険料申告書の控え
(受付印があるもの)

②領収済通知書(労働保険料納入に係るもの)
③雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用) 
④事業所別被保険者台帳照会(3か月以内のもの)

※いずれも直近の書類(写し)
※労働保険番号または事業所整理番号がわかるもの

社会保険加入状況の変更について

社会保険の加入状況に変更が生じた場合は2週間以内に変更届の提出が必要になります。
※変更内容が従業員のみの場合、決算変更届を提出する際に届出をすれば問題ないケースもあります。

尚、従業員を新たに雇用し、社会保険の加入手続きが必要になった場合については、
社会保険の専門家である社会保険労務士に相談する事をおすすめ致します。

社会保険加入要件のまとめ

今回は建設業許可の要件の1つ「適切な社会保険の加入」について解説してきました。
社会保険の加入について、デメリット・メリットはそれぞれあると思います。
デメリットとしては、保険料の負担が増える事が大きいと思います。
ただ、逆にメリットは従業員が安心して働ける環境や元請け等からの信用が上がります。
そして何よりも建設業許可を取得し、より大きな工事を受注できるなどの
メリットは大きいと思います。
まだ未加入である業者の方がおられましたら、いち早く加入されることをおすすめ致します。