建設業許可【「管工事業」を取得する為の要件】を徹底解説

建設業許可の「管工事業」を取得したい方は必見!!
この記事では、建設業許可の「管工事業」を取得する為の要件について具体的に解説しています。
「管工事業」とは「冷暖房設備工事」と「冷凍冷蔵設備工事」等があたります。
この記事を読めば、「管工事業」の取得する為の要件についてわかります!!

記事を読んでわかるポイント


  • どのような工事が「管工事業」に該当するのかがわかります!
  • 「管工事業」の取得要件がわかります!

建設業許可の「管工事業」とは?

「管工事業」とは、以下の工事をいいます。

「管工事業」
冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事

具体的な「管工事業」に該当する工事名は以下になります。

工事名
冷暖房設備工事
冷凍冷蔵設備工事
空気調和設備工事
給排水・給湯設備工事
厨房設備工事
衛生設備工事
浄化槽工事
水洗便所設備工事
ガス管配管工事
ダクト工事
管内更生工事

「冷暖房設備工事」「冷凍冷蔵設備工事」「空気調和設備工事」には、冷媒の配管工事などフロン類の漏洩を防止する工事が含まれる

し尿処理施設に関する施設の建設工事における「管工事」、「水道施設工事」及び「清掃施設工事」間の区分の考え方は、規模の大小を問わず浄化槽(合併処理槽を含む。)によりし尿を処理する施設の建設工事が「管工事」に該当し、公共団体が設置するもので下水道により収集された汚水を処理する施設の建設工事が「水道施設工事」に該当し、公共団体が設置するもので汲取方式により収集されたし尿を処理する施設の建設工事が「清掃施設工事」に該当する。

「機械器具設置工事」には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれているため、機械器具の種類によっては「電気工事」、「管工事」、「電気通信工事」、「消防施設工事」等と重複するものもあるが、これらについては原則として「電気工事」等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が「機械器具設置工事」に該当する。

建築物の中に設置される通常の空調機器の設置工事は「管工事」に該当し、トンネル、地下道等の給排気用に設置される機械器具に関する工事は「機械器具設置工事」に該当する。

上下水道に関する施設の建設工事における「土木一式工事」「管工事」及び「水道施設工事」間の区分の考え方は、公道下等の下水道の配管工事及び下水処理場自体の敷地造成工事が「土木一式工事」であり、家屋その他の施設の敷地内の配管工事及び上水道等の配水小管を設置する工事が「管工事」であり、上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理場内の処理設備を築造、設置する工事が「水道施設工事」である。なお、農業用水道、かんがい用排水施設等の建設工事は「水道施設工事」ではなく「土木一式工事」に該当する。

公害防止施設を単体で設置する工事については、「清掃施設工事」ではなく、それぞれの公害防止施設ごとに、例えば排水処理設備であれば「管工事」、集塵設備であれば「機械器具設置工事」等に区分すべきものである。

上記のような工事を税込500万円以上で工事を請負う場合に、「管工事業」の建設業許可が必要になります。

建設業許可の「管工事業」を取得する為の要件

建設業許可の「管工事業」を取得するには以下のような条件を満たす必要があります。

「管工事業」を取得する為の条件
①建設業を営む会社での経営経験が5年以上ある
②「管工事業」に関する国家資格または実務経験がある
③500万円以上の資金能力がある
④社会保険への加入
⑤欠格要件に該当していないこと
⑥誠実性があること

上記の①~⑥全ての条件を満たす事ができれば、「管工事業」の許可を取得することが出来ます。

①建設業を営む会社での経営経験が5年以上ある

法人では常勤役員のうちの1人、個人事業主では事業主が、以下の条件のいずれかに当てはまる必要があります。

経営経験
①建設業を営む会社で
5年以上の取締役経験
②建設業を個人事業主として
5年以上営んだ経験

上記のような者を「経営業務管理責任者」と言います。「経営業務管理責任者」は建設業許可を取得する要件の中でも、かなり重要となる要件です。ほとんどのケースが上記のような経験で要件を満たす場合が多いのですが、極めて稀に他のケースで満たす場合もあります。そのケースは別の記事で解説してますので、下記より参考にして下さい。

経営業務管理責任者についてより詳しく知りたい方はこちら

②「管工事業」に関する国家資格または実務経験がある

この要件は、下記の条件のいずれかに当てはまる技術者を、営業所ごとに常勤で配置する必要があります。

技術者
①「管工事業」に関する国家資格を持っている
②「管工事業」に関する実務経験が
10年以上ある
③「管工事業」に関する実務経験が
3年or5年以上+指定学科を卒業している

「管工事業」に関する国家資格を持っている

「管工事業」を取得するには、以下のような国家資格を持っている技術者が必要になります。

「管工事業」に関する国家資格
・1級管工事施工管理技士
・2級管工事施工管理技士
・技術士:機械「流体工学」又は「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」又は「熱工学」)
・技術士:上下水道・総合技術監理(上下水道)
・技術士:衛生工学・総合技術監理(衛生工学)
・技術士:衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
・技術士:衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」)
・給水装置工事主任技術者 (合格後、実務経験1年必要)
・建築設備士 (合格後、実務経験1年必要)
・1級計装士 (合格後、実務経験1年必要)
・技能検定1級 冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管
・技能検定1級 給排水衛生設備配管
・技能検定1級 配管(選択科目「建築配管作業」)・配管工
・技能検定1級 建築板金「ダクト板金作業」

・技能検定2級 冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管
・技能検定2級 給排水衛生設備配管

・技能検定2級 配管(選択科目「建築配管作業」)・配管工

・技能検定2級 建築板金「ダクト板金作業」


技能検定2級に関しては、実務経験が3年以上必要。ただし、平成16年4月1日時点で合格していた者は実務経験1年以上に短縮されます。

上記に掲げた、「管工事業」に関する国家資格を持っていない場合は、実務経験で要件を満たす必要があります。ただし、実務経験で要件を満たすのは、非常に難易度が上がりますので、出来る事だけ、国家資格を取得して要件を満たす事をおすすめ致します。

「管工事業」に関する実務経験が10年以上ある

菅工事の実務経験を10年以上した経験があり、かつその証明が出来れば、この条件をクリアすることが出来ます。この証明は、実務経験10年分を役所が求める書類で、証明する必要があり、許可を取得する為の難易度が非常に上がる理由になります。

滋賀県では、下記のような証明書類の提出が求められます。

実務経験10年の証明方法(滋賀県の場合)

菅工事業の経験を記載した・・・実務経験証明書(10年分)+契約書(3年分)

実務経験証明書(10年分)→ 記載例はこちら

契約書 → 「工事請負契約書」や「注文書」など

③「管工事業」に関する実務経験が3年or5年以上+指定学科を卒業している

指定学科を卒業していれば、菅工事の実務経験の年数が10年から短縮されます。。必要な実務経験の年数は指定学科を卒業したのが高校、大学により以下になります。

学科 高校卒業 大学卒業
土木工学に関する学科 土木(工学)科 実務経験5年に短縮










































実務経験が3年に短縮










































開発工学科
海洋開発(工学)科
海洋工学科
海洋土木工学科
環境開発科
環境建設科
環境整備工学科
環境設計工学科
環境土木科
建設(工学)科
建設環境工学科
建設技術科
建設基礎工学科
建設工業科
建設システム(工学)科
建築土木科
構造工学科
資源開発工学科
社会開発工学科
社会建設工学科
水工土木(工)学科
地質工学科
土木海洋工学科
土木環境工学科
土木建設工学科
土木建築(工学)科
土木地質科
建築学に関する学科 環境計画科
建築科
建築システム科
建築設備科
住居科
住居デザイン科
造形科
機械工学に関する学科






























エネルギー機械科
応用機械科
機械科
機械技術科
機械工学二科
機械航空科
機械工作科
機械システム科
機械情報科
機械情報システム科
機械精密システム科
機械設計科
機械電気科
建設機械科
航空宇宙科
航空宇宙システム科
航空科
交通機械科
産業機械科
自動車科
自動車工学科
生産機械科
精密科
精密機械科
船舶科
船舶海洋科
船舶海洋システム科
造船科
電子機械科
電子制御機械科
動力機械科
農業機械科
学科名に関係なく機械(工学)コース
都市工学に関する学科
環境都市科
都市科
都市システム科
衛生工学に関する学科

衛生科
環境科
空調設備科
設備科
設備工業科
設備システム科

 

上記のような①~③のいずれかの条件を満たす者を「専任技術者」といいます。「専任技術者」は建設業許可を取得する要件の中でも、「経営業務管理責任者」と同様に、かなり重要となる要件です。特に10年の実務経験で要件を満たそうとするとより難易度が上がります。「専任技術者」の要件も別の記事でより詳しく解説してますので、下記から参考にしてください。

専任技術者についてより詳しく知りたい方はこちら

③500万円以上の資金能力がある

500万以上の資金能力があるかどうかは以下のいずれかに当てはまれば条件を満たす事が出来ます。

資金能力
①直近の決算で自己資本が500万円以上あること
②銀行口座に500万円以上資金がある又は融資が受けられる

直近の決算で自己資本が500万円以上なければ、銀行口座に500万円以上入れた状態で「残高証明書」を取得するか、銀行から500万円以上融資が受けれる証明として「融資可能証明書」を取得するなどしてこの要件をクリアすることが可能です。

500万円以上の資金能力についてより詳しく知りたい方はこちら

④社会保険への加入

この要件は令和2年10月1日の許可申請受付分(新規・業種追加・更新等)より、申請される事業所で、適切な社会保険の加入が許可要件となりました。

社会保険は以下になります。

社会保険
①健康保険・厚生年金保険
②雇用保険

健康保険・厚生年金保険

健康保険・厚生年金保険に加入が必要になるのは、法人、個人事業主により以下になります。

事業形態 加入義務がある事業者
法人 すべて
個人事業主 ※本人は加入できない 家族従業員を除く従業員を5人以上使用している場合

②雇用保険

雇用保険に加入が必要になるのは、下記にあてはまる労働者を1人でも雇っている場合に、法人、個人事業主に関わらず、加入義務が発生します。

以下の労働者を雇っている場合
①31日以上継続して雇用される見込みであること
②週の労働時間が20時間以上であること

社会保険への加入についてより詳しく知りたい方はこちら

⑤欠格要件に該当していないこと

欠格要件は会社の役員等が以下のいずれかに1つでも該当する場合は許可を受けることが出来ません。

欠格要件
1、書類に関する欠格要件

許可申請書又はその添付書類について、重要な事項に虚偽の記載又は重要な事項の記載が欠けている

2,人に関する欠格要件
①成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
②不正の手段により許可を受けたこと、又は営業停止処分に違反した事等により
 その許可を取り消されて5年を経過しない者
③許可の取消処分を免れるために廃業届を行い、その届出の日から5年を経過しない者
④許可の取消処分を免れるための廃業の届出を行った事業者について、許可の取消処分にかかる通知    
 があった日以前60日以内に、③の廃業の届出をした法人の役員等若しくは令3条使用人、又は届出
 をした個人の令3条使用人で、当該届出の日から5年を経過しない者
⑤営業の停止、禁止を命ぜられ、その停止、禁止の期間が経過しない者
⑥営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
⑦禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった
 日から5年を経過しない者
⑧建設業法、又は一定の法律に違反したことで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はそ  
 の刑の執行を受ける事がなくなった日から5年を経過しない者
⑨暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
⑩申請者が未成年者で、その法定代理人又は法人でその役員等、又は令3条使用人又は個人事業でそ   
 の支配人又は令3条使用人が①~⑨に該当する場合
⑪暴力団員等にその事業活動を支配されている者

欠格要件に該当してはいけない人物は法人、個人事業主により以下になります。

事業形態 欠格要件に該当してはけない人物
法人 会社、執行社員、取締役等
個人事業主 事業主、支配人、営業所の代表者

欠格要件に該当しないことについてより詳しく知りたい方はこちら

⑥誠実性があること

誠実性とは「請負契約に関し、不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかなものでないこと」といった要件が求められます。

不正又は不誠実な行為とは以下になります。

不正な行為
詐欺、脅迫、横領等の法律に違反する行為を行って契約を締結した場合
不誠実な行為
工事内容、天災等不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為

誠実性の要件が求められるのは法人、個人事業主により以下になります。

事業形態 誠実性が求めらる人物
法人 会社、執行社員、取締役等
個人事業主 事業主、支配人、営業所の代表者

誠実性があることについてより詳しく知りたい方はこちら

建設業許可の「管工事業」を取得する方法まとめ

今回は、建設業許可の「管工事業」を取得する方法について解説してきました。

これから「管工事業」で、500万円以上の工事を請け負いたい方や事業拡大を考えている方などの参考になればと思います。

弊所は、建設業に特化した行政書士事務所になってますので、もし建設業許可を取得したい場合はお気軽にお問い合わせください。