建設業許可を取得した方で取得後の手続きや義務について知りたい方は必見!!
この記事では「建設業許可後の手続きや義務」について具体的に解説しています。
実は建設業許可は取得して終わりでは無く、取得後には手続きや義務が必要になります。
この記事を読めば、取得後の手続きや義務に関する事がわかります!!
本記事を読んでわかるポイント
- 建設業許可取得後の具体的な手続きや義務がわかります!!
- 各種変更があった場合の届出期間がわかります!!
建設業許可取得後に行う手続きや義務とは?
建設業許可は取得して終わりでは無く、取得後もそれを維持する為に手続きや義務があります。
具体的には以下の対応が必要になります。
建設業許可取得後の手続きや義務
①各種届出の義務
②標札の設置、帳簿の保存義務
③契約締結に関する義務
④工事現場での施工体制に関する義務
⑤下請代金の支払いに関する義務
手続きや義務を怠ると行政処分の対象となります。
行政処分を受けてしまうと国土交通省が運営している
「ネガティブ情報等検索サイト」に反映されていしまいます。
主に「営業停止」「許可取消」「指示」などの処分を受けるとサイトに掲載され、
会社の商号又は名称、営業所の所在地等の会社に関する情報や処分内容、処分の詳細などが、掲載される為、工事の受注が出来なくなったり、会社の信用力が低下し、最悪の場合は廃業にも繋がりかねません。なので、建設業許可取得後の手続きや義務はしっかりと守りましょう!!
①各種届出の義務
各種届出の義務は主に以下になります
・建設業許可の更新
・決算変更届
・各種変更があった際の届出
・建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は、許可取得日から5年となってます。
つまり、取得日から5年が経過するまでに許可の更新が必要になります。
更新は許可取得日の30日前までには、手続きが必要になります。
有効期間を1日でも過ぎた時点で、許可の効力を失い取り消しになります。
・決算変更届
建設業許可を取得している業者は、毎年、事業年度終了後4か月以内に許可行政庁に対して、
決算変更届を提出する義務があります。
税務署に税務申告する為に作成する決算書とはまた別のものになりますので注意が必要です。
決算変更届が提出されていないと罰則が設けられていますが、罰則については最悪のケースに科されることになっています。提出していないと提出できなかった理由の説明や始末書を書かされるといったケースがほとんどです。
また、建設業許可を更新する際は、決算変更届が5年分提出されている事が必要になりますので、
提出していないと更新が出来なくなるのも注意なので、毎年必ず提出しましょう。
・各種変更があった際の届出
以下の事項に変更があった場合は、一定の期間内に許可行政庁に対して届出が必要になります。
変更事由 | 届出期限 |
経営業務管理責任者 | 変更後2週間以内 |
・経営業務管理責任者の要件を欠いたとき | |
・経営業務管理責任者に変更があったとき | |
・経営業務管理責任者の氏名が変更したとき | |
営業所の専任技術者 | |
・営業所専任技術者の要件を満たす者を欠いたとき | |
・営業所専任技術者に変更があったとき | |
・営業所専任技術者がその氏名を変更したとき | |
営業所の代表者 | |
・新たに営業所の代表者になった者があるとき | |
欠格要件 | |
・欠格要件に該当したとき | |
廃業等 | 変更後30日以内 |
・個人事業主が死亡したとき(相続人が届出) | |
・法人が合併により消滅したとき(役員であった者が届出) | |
・法人が破産手続開始の決定により消滅したとき(破産管財人が届出) | |
・法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散したとき(清算人が届出) | |
・許可を受けた建設業を廃止したとき | |
事業者の基本情報 | |
・商号、名称を変更したとき | |
・既存の営業所の名称、所在地又は営業所における営業種を変更したとき | |
・資本金額(出資総額)に変更があったとき | |
・法人の役員等、個人の事業主及び支配人の氏名に変更があったとき | |
・営業所の新設を行ったとき | |
・新たに役員等、支配人となった者があるとき |
②標札の設置、帳簿の保存義務
・標識の設置
建設業許可を取得したら、その店舗や建設工事の現場ごとに、見やすい場所に、
標識を掲示する必要があります。
建設業法40条 第1項
建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省が定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
上記のような許可票を店舗及び建設現場に掲示する必要があり、サイズにも規定があります。
サイズに関しては、店舗と建設現場によって異なります。
建設業許可票のサイズ
店舗の場合・・・縦35㎝×横40㎝以上
現場の場合・・・縦25㎝×横35㎝以上
※許可票に表示する項目やサイズには規定がありますが、材質には規定はありません。
・帳簿の保存義務
建設業許可を取得したら、請負契約の内容を適切に整理した帳簿を営業所ごとに
備え付ける必要があります。
保存期間も設けられており、帳簿については5年間保存が必要になります。
※発注者と締結した住宅を新築する建設工事にかかるものにあっては10年間保存が必要
・営業に関する図書の保存
建設業許可を取得したら、発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、営業に関する図書を建設工事の目的物を引き渡したときから10年間保存が必要になります。
③契約締結に関する義務
工事着工する前には、必ず書面による契約を徹底する必要があり、
契約書への規定事項の記載の義務もあります。
上記に加え、禁止行為の規定もあります。
禁止行為
・工事原価よりも低い価格で工事契約を強制する行為
・工事に使用する資材等の購入先を指定して請負人の利益を害する行為
※自分が有利な立場を使って、相手を損させるようなことはしてはいけないという事です。
④工事現場での施工体制に関する義務
建設業許可を取得したら、工事現場での施工体制に関する以下の義務が生じます。
工事現場での施工体制に関する義務
・工事現場への配置技術者義務
・工事現場への配置技術者の専任配置義務
・一括請負の禁止
・特定建設業許可業者に関する義務
・工事現場への配置技術者義務
建設業許可を取得したら、元請下請に関わらず、全ての工事現場に
配置技術者を配置しなければなりません。
配置技術者とは主任技術者又は監理技術者の事を指します
配置技術者とは
主任技術者=一般建設業許可の営業所専任技術者の資格要件を満たすもの
監理技術者=特定建設業許可の営業所専任技術者の資格要件を満たすもの
つまり、主任技術者と監理技術者をまとめて配置技術者と言います。
・工事現場への配置技術者等の専任配置義務
請負代金の額が3500万円以上の工事には配置技術者を専任で置く必要があります。
※建築一式工事の場合は7000万円以上
その現場で専任となる為、他の現場との兼務が禁止されることが注意点です。
・一括請負の禁止
請け負った工事について他者に一括して下請負する行為、
他者から工事を一括して下請負される行為の双方が禁止されています。
つまり、請け負った工事の丸投げを禁止しています。
※丸投げをするのもされるのも両方禁止
・特定建設業許可を取得している者に関する義務
施工体制台帳・施工体系図の作成義務
特定建設業許可を取得している業者は、公共工事、民間工事問わず、
発注者から直接建設工事を請け負った建設工事を施工する為に締結した
下請負契約の総額が4000万(建築一式工事の場合は6000万円)以上になるときは、
施工体制台帳及び施工体系図を作成する必要があります。
引用:国土交通省HP
下請負人への指導義務
特定建設業許可を取得している業者は、発注者から直接工事を請け負い、
その工事を下請契約する場合は全ての下請負業者に対して以下の指導義務が課せられます。
指導義務
・下請業者に対する法令遵守指導の実施
・法令違反を是正しない下請負人があった場合は行政庁に通知する義務
⑤下請代金の支払い義務
・下請代金の支払期日に関する義務
注文者から請負代金の出来高払い又は竣工払を受けたときは、
その支払い対象の工事を施工した下請負人に対して、1か月以内に下請代金を支払う必要があります。
各種支払い方法
出来高払い・・・工事の進捗にあわせて、施工できた分の代金を数回に分けて支払う方法
竣工払・・・工事完成の確認の検査に合格したとき支払われる最終の請負代金
・特定建設業許可を取得している者に関する義務
下請代金の支払期日の特例
特定建設業許可を取得している業者は、以下のいずれか早い期日内に下請代金の支払いが必要です。
(ア)注文者から請負代金の出来高払い又は竣工払を受けてから1か月以内
(イ)下請負人から工事目的物の引渡し申出日から50日以内
(ア)又は(イ)のいずれか早い期日
つまり、下請負人から工事目的物の引き渡し申出があっても、すぐに注文者から請負代金の出来高払い又は竣工払があれば、1か月以内に支払いが必要になります。
建設業許可取得後に気を付ける義務のまとめ
今回は建設業許可を取得した後に気を付ける義務について解説しました。
建設業許可は取得して終わりでは無く、許可取得後も維持する為の義務が生じます。
このようにたくさんの義務が設けられている背景には、発注者保護や工事の適正な施工確保、建設業の健全な発達の促進が建設業法の目的としている為にあります。
「知らなかった。」では、済まされないのが法律なのですが、
全てを把握するのには困難を極めると思います。
もし、疑問点やご相談があればお気軽に弊所までお問い合わせください。